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歴史民俗資料館TEL.0247-26-3768

石川地方の鉱物紹介

石川地方の鉱物紹介

石川町には、中央部とその周辺に花崗岩類が分布し、これを挟んで、東部と西部に変成岩帯があります。花崗岩類の主体は、阿武隈山地の古期花崗岩類です。そこに、新期花崗岩類が貫入してきており、その周辺に多くの花崗岩ペグマタイト(巨晶花崗岩)が分布しています。
石川地方のペグマタイトから産出する鉱物は、結晶が大きく、また、その種類も豊富であることから、岐阜県苗木地方、滋賀県田ノ上(たなかみ)地方と並んで「日本三大ペグマタイト鉱物産地」の一つに数えられています。そして、石川地方から産出した鉱物は、国内各地の地学系博物館に展示・所蔵されています。また、ペグマタイトから産出する石英(珪石)・長石は、明治時代から昭和48(1973)年頃まで、焼き物の釉薬(うわぐすり)やガラスの原料として盛んに発掘されていました。
これまでに収集された鉱物標本は石川町立歴史民俗資料館で展示されていますので、自然の芸術と言われる数多くの美しい鉱物をぜひご覧ください。



石川地方の鉱物紹介

(1)石英(水晶) SiO₂
石英は一番ポピュラーな鉱物であり、ガラスやシリコンの原料などのため、採掘されていますが、六角柱状に結晶したものを水晶といいます。水晶の仲間には、色によって煙水晶、紫水晶、黒水晶などがあります。形によって松茸水晶、まがり水晶、平板水晶など、さらに、水晶内部に閉じ込められたものによって、草入り水晶などがあります。石川地方は煙水晶の産出が最も多いところです。
(2)カリ長石 KAlSi₃O₈
天然の岩石によく見られる鉱物の一つで、ペグマタイト中では石英と隣り合わせて大型の結晶で産出します。白やピンクで、成分の違いによって数種に分けられます。大きくカリ長石と斜長石の仲間に分けられます。風化すると粘土になります。質の良いものは焼き物(セラミックス)の原料や釉薬になり、石川産のものは日本一の良質のものとして重宝されました。
(3)鉄ばんざくろ石 Fe²⁺₃Al₂(SiO₄)₃
ざくろの果実の種に似ていることから名付けられました。二十四の平らな面で作られている二十四面体のもの、十二面体、三十六面体と、天然につくられた宝石です。ペグマタイトからは大きな結晶が産出します。黒褐色のものが多いのですが、濃赤色のものもあります。鮮やかなものはガーネットと呼ばれ、1月の誕生石として知られています。石川で産出するざくろ石の多くは、黒色の鉄ばんざくろ石です。
(4)鉄電気石 NaFe²⁺₃Al₆(BO₃)₃Si₆O₁₈(OH)₄
熱したり、圧力を加えたり、摩擦を加えたりすると静電気が発生することから名付けられました。黒色で伸びる方向に平行な状線が結晶面に見られます。石川の花崗岩ペグマタイトに多く産する鉄電気石の結晶は特に大きく、日本産の中でも特に素晴らしい結晶です。また、マグネシウムの多い苦土電気石が変成岩中に見られます。
(5)緑柱石 Be₃Al₂Si₆O₁₈
希土類元素のベリリウムを含む鉱物で、緑色のものはエメラルド、淡青色透明のものはアクアマリン、赤いものはレッドベリルと呼ばれる宝石として有名です。六角柱状の結晶で条線はありません。主にペグマタイト中に産します。石川で産出するものは青、青緑色のものが多く、亀列が入っているものが多いです。
(6)白雲母 KAl₂(AlSi₃O₁₀)(OH,F)₂
昔、きららと呼ばれていました。銀白色にキラキラ光って、紙を何枚も重ねているように薄くはがれます。はがれた薄片は透明で、下におかれた文字が透けて見えます。また、表面は矢羽根のような模様の結晶があるものもあります。花崗岩ペグマタイト中には大きな結晶で産出します。熱と電気を伝えにくいので、いろんな電気製品に利用されています。
(7)黒雲母 K(Mg,Fe²⁺)₃(Al,Fe³⁺)Si₃O₁₀(OH,F)₂
黒色で太陽に当たるとキラキラ光ります。薄くはがれ、はがれたものは透明であり、花崗岩などの岩石の成分となっていますが、花崗岩のペグマタイト中には大きな結晶で産出します。鉄を多く含んでいるので、鉄雲母ともいわれています。川砂中に、風化して茶色になったものはキラキラ輝き、砂金と間違えられることもあります。
(8)金緑石 BeAl₂O₄
希元素のベリリウムを含みます。日本での産出例が少ない鉱物です。太陽光と白熱灯の光で色が変わるので、アレキサンドライトあるいはキャッツアイという宝石で知られています。
(9)紅柱石 Al₂SiO₅
花崗岩ペグマタイト、接触変成岩、ロウ石鉱床などから産出します。アルミニウムの珪酸塩鉱物で、純粋な成分なら色がないはずですが、通常、少量の鉄を含むため紅色を帯びます。日本では、紅色で柱状の結晶をすることから名付けられました。
(10)サマルスキー石 (Y,Ce,U,Fe³⁺)(Nb,Ta,Ti)O₄
希土類元素としてニオブ(Nb)、タンタル(Ta,)のほか、ウラン(U)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)等を含み、比較的高い放射能を有する鉱物です。鉱物から出される放射線によって、周囲の石英や長石が黒色~褐色に変色した「ハロ現象」が現れることがあります。柱状または板状の結晶、塊状のものもあります。色は漆黒色から黒褐色、不透明。表面は緻密で強い樹脂光沢、漆黒色に輝いております。石川では花崗岩ペグマタイトに多く産出しますが量は少ないです。
(11)鉄コルンブ石 Fe Nb₂O₆
希元素としてニオブやタンタルを含み、副成分として放射性元素を伴い、放射能を有します。板状、厚板状、短柱状の結晶であり、弱い放射線を持っています。色は鉄黒色、結晶の表面に縦方向の条線がみられることが多いです。石川では多くのペグマタイトから産します。鉄とマンガンのどちらかが多いかによって、鉄コルンブ石とマンガンコルンブ石に分かれます。
(12)フェルグソン石 YNbO₄
ニオブとイットリウムの希元素を成分とします。錐面をもつ四角柱状で、下が太く、先が少し細くなります。色は黒褐色、表面は灰緑の膜に覆われることがあります。割れ口は黒褐色貝殻状で、亜金属光沢の強い光沢を持ちます。花崗岩ペグマタイトの長石中、黒雲母中に産出します。石川でも産出するところは少なく、限られたところにしか産出しません。副成分として、ウランとトリウムを含むため放射能を有します。
(13)モナズ石 CePO₄
セリウムを主成分とします。ウラン、トリウムを少量含み、放射能を有し、まわりに「ハロ現象」を生じます。板柱状結晶、先端が斜めに切れるものがあります。色は黄褐色から赤褐色で、べっこうあめのような半透明です。石川では多くのペグマタイト中に産出します。主成分のセリウムは着火材料に用いられています。
(14)ゼノタイム YPO₄
燐酸イットリウムを成分とする鉱物です。屋根の低い角錘形に結晶し、色は淡褐色、灰緑色、黄緑色などがあります。単独に結晶するものとジルコンと同構造のため、ゼノタイムの結晶をジルコンが貫いたような平行連晶をなすことが多いです。また、球状集合体にもなります。黒色石英や長石の平らな面につく黒雲母に産出することも多いです。ごく少量のトリウムを含むので放射能を有します。
(15)ジルコン ZrSiO₄
結晶は四角錐状ないし短柱状で茶系統の色が多いです。副成分としてウラン、トリウムなどの放射性元素を含み、放射能を有し、まわりの長石や石英に「ハロ現象」を生じます。これを変種ジルコンといいます。多くの場合はゼノタイムと連晶しています。これを菊花石と呼んでいます。石川では広く見ることができる鉱物です。
(16)燐灰ウラン石 Ca(UO₂)₂(PO₄)₂・10~12H₂O
ウランの二次鉱物の中で最も普通に見られる鉱物です。燐片状あるいは薄い板状に結晶し、その方向に完全へきかいがあるため、雲母のように見えることがあります。紫外線により蛍光反応をします。石川において、日本で最初に発見されました。
(17)褐簾石 Ca(Ce,Y)FeAl₂(SiO₄)(Si₂O₇)O(OH)
黒色ないし黒褐色不透明で、花崗岩中やペグマタイト中に板状、柱状、塊状の結晶をして産出します。セリウムなどの希土類元素を含み、放射能を有します。石川のペグマタイトでは広く産出しますが量は少ないです。
(18)緑簾石 Ca₂Fe₃+Al₂(SiO₄)(Si₂O₇)O(OH)
スカルン鉱物で、緑色のすだれのように筋は入ります。色は黄緑、くすんだ緑です。石川では花崗岩と変成岩の接触部に灰ばんざくろ石と一緒に産出したり、変成岩中やペグマタイト中にも産出します。
(19)灰ばんざくろ石 Ca₃Al₂(SiO₄)₃
灰はカルシウム、ばんはアルミニウムを意味しています。結晶は、純粋なものでは斜方十二面体の美しい結晶です。色は緑色系と褐色系が普通であり、石川では透明度のあるべっこう色をしているものが多いです。また、緑簾石と仲良く産出することが多いです。
(20)自然金 Au
鉱山から出る金を山金といい、川や堆積層から出るものを砂金といいます。石川では、少量ですが昔から砂金がとれたといわれています。例えば、金田川、小金塚、金堀などの地名があります。現在、町の資料館には大正時代に採集された砂金が展示されています。石川の花崗岩ペグマタイト中から自然金が発見されています。

このページに関するお問い合わせ先

石川町立歴史民俗資料館

〒963-7845 福島県石川郡石川町字高田200-2

電話:0247-26-3768