○石川町中小企業・小規模企業振興基本条例

令和2年3月31日

条例第1号

石川町は,豊かな自然環境,歴史,文化に培われた風土のもと,数多くの文化遺産や特色のある伝統行事,由緒ある温泉等,豊かな地域資源も有しており,人や物の交流拠点として発展してきた。

明治時代には東日本における自由民権運動の起源とされる政治結社「有志会議」(後の石陽社)が石川町に誕生し,以後,人民主権を求める人々の思いは各地へ広がり,「民主主義」という新たな時代を切り開く大きな原動力となった。

時代を築いてきた先人の思いを胸に,石川町の中小企業及び小規模企業は,製造業やサービス業を中心に発展し町民の「暮らし」を支え,本町の経済活性化の担い手として重要な役割を果たしており,地域経済をけん引するとともに,本町の雇用を支える地域社会の主役というべき存在である。

今後も中小企業及び小規模企業が持続的に発展をしていくためには,長く続いた景気の低迷とともに少子高齢化社会の進行や経済のグローバル化,販売・購入方法の多様化などの経済や社会情勢の変化に柔軟に対応しながら,個々の強みを発揮して付加価値を向上させ,先人たちのように新たな時代を切り開いていかなければならない。

そのために,企業自身が,自立的で質の高い企業づくりを進めることを基本に経済的,社会的な環境変化に応じた新たなビジネスモデルの創出や,ものづくり技術の向上に取り組むことのできる環境づくりを推進するため,行政・中小企業関係団体・大企業・金融機関・教育機関等の関係機関が連携し,地域社会が一体となって支援することが重要である。

ここに,本町の中小企業及び小規模企業が持続的に発展し地域経済の発展に果たす役割の重要性を共有し,その基本理念等を明らかにするとともに,豊かで活力ある石川の実現のため,この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は,中小企業及び小規模企業(以下「中小企業等」という。)が地域経済において果たす役割の重要性に鑑み,中小企業等の振興について,基本理念を定め,町の責任並びに中小企業等の努力等について明らかにするとともに,中小企業等振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより中小企業等の振興に関する施策を総合的に推進し,もって本町経済の持続的な発展及び町民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号に該当するものであって,町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 法第2条第5項に規定するものであって,町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 中小企業関係団体 商工会その他の中小企業又は小規模企業の振興を目的とする団体であって,町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(4) 大企業 中小企業等以外の事業を営むものであって,町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(5) 金融機関 銀行,信用金庫,信用協同組合その他の金融業を行うもの及び信用保証協会であって,町内に事務所及び事業所を有するものをいう。

(6) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校及びその他職業に必要な能力を育成する機関であって,町内に存するものをいう。

(基本理念)

第3条 中小企業等の振興は,次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。

(1) 中小企業等による経営基盤の強化及び経営の革新を図るための創意工夫と自主的な努力を促進することを基本として推進されなければならない。

(2) 中小企業等の振興は,多様な分野における特色ある事業活動を通じて,地域の経済及び雇用を支え,町民の生活向上に重要な役割を果たしているという認識のもとに行われなければならない。

(3) 町,中小企業等,中小企業関係団体,大企業,金融機関,学校及び町民が相互に連携及び協力が図られること。

(町の責務)

第4条 町は,前条の基本理念に基づき,中小企業等の振興に関する総合的な施策を策定し,実施しなければならない。

2 前項の施策は,中小企業等,中小企業関係団体,大企業,金融機関,学校及び町民の相互の連携及び協力により実施するよう努めなければならない。

(中小企業者等の努力)

第5条 中小企業等は,経済的,社会的な環境変化に応じて,自主的に経営の向上及び改善に努めるものとする。

2 中小企業等は,雇用機会の確保,人材の育成,福利厚生の充実その他雇用環境の整備に努めるものとする。

3 中小企業等は,その社会的責任を自覚し,事業活動を通じて地域の活性化に資するように努めるものとする。

4 中小企業等は,学校が行う職業の体験活動その他職業に関する理解を深める学習等に協力するよう努めるものとする。

(中小企業関係団体の役割)

第6条 中小企業関係団体は,中小企業等の自主的な経営力の向上,経営基盤の強化及び創意工夫による取組をそれぞれの立場において,積極的に支援するものとする。

(大企業の役割)

第7条 大企業は,地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し,事業活動を行うに当っては,中小企業等との連携及び協力に努めるものとする。

2 大企業は,町が実施する中小企業等の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第8条 金融機関は,中小企業等が自主的に経営力の向上及び経営基盤の強化に取組むことができるよう円滑な資金の供給,経営相談等を行い,中小企業等の育成及び事業の持続的な発展に協力するように努めるものとする。

(学校の役割)

第9条 学校は,生徒等に対し,教育活動を通じて,勤労及び職業に対する意識の啓発に努めるものとする。

(町民の理解及び協力)

第10条 町民は,中小企業等の振興が本町経済の発展及び町民生活の向上に寄与することについての理解を深めるとともに,町内において生産,製造及び加工される製品並びに提供されるサービスを利用する等,中小企業等の成長発展及び事業の持続的な発展に協力するよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第11条 町は,次に掲げる基本方針に基づき,中小企業等の振興に関する施策を策定するものとする。

(1) 経営の安定及び改善を促進すること。

(2) 円滑な資金の調達を促進すること。

(3) 人材の育成,確保及び定着並びに雇用の創出を促進すること。

(4) 創業及び円滑な事業の継承,企業間連携等を促進すること。

(5) 中小企業等の振興に資する情報の収集,提供及び発信を充実すること。

(中小企業等振興会議)

第12条 前条に掲げる各施策を推進するため,石川町中小企業等振興会議(以下「会議」という。)を置く。

2 会議は,中小企業等の振興に関する事項その他町長が必要と認める事項について審議するとともに,町長に意見を述べることができる。

3 前2項に定めるもののほか必要な事項は,町長が別に定める。

(財務上の措置)

第13条 町は,中小企業等の振興施策を推進するため,必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。

(委任)

第14条 この条例に定めるもののほか必要な事項は,町長が別に定める。

この条例は,令和2年4月1日から施行する。

石川町中小企業・小規模企業振興基本条例

令和2年3月31日 条例第1号

(令和2年4月1日施行)